オートバイ配線の多くには、カプラー(ハウジングとも呼ばれる)が使われてます。
多くの電線をワンタッチで脱着できることや、配線を種類別にきれいにまとめることが出来ます。

端子の規格(サイズ)一覧表
025(0.64mm)
030(0.8mm)
040(1.0mm)
050(1.3mm)
060(1.5mm)
070(1.8mm)
090(2.3mm)
110(2.8mm)
187(4.8mm)
250(6.0mm)
305(7.8mm)
312(8.0mm)
375(9.5mm)
例:オス端子の先端幅が「2.8mm」であれば、その端子は「110型」です。

現在のオートバイ用のカプラーには、「110型カプラー」がもっとも多く使用されています。
最新のオートバイには、新型のカプラーが採用されていることもあります。
カプラーを選ぶ際には、オス側とメス側に同じカプラーを使わなければなりません。

110型カプラーは、主に自動車やバイクのメーカーで使用されるもので
小売業者を通じて、消費者が通常購入することが出来るルートは限られています。

110型カプラーは「規格品」ですので、9極(9ピン)、6極(6ピン)など、端子の数が
同じであれば、ほぼ接続できます。(異なる点は、カプラーの”色”くらいではないでしょうか。)
使用されている箇所は、左右のハンドルスイッチやメインハーネスなど様々です。

250型カプラーは、ツメ付きの場合、ツメの取り付け位置が異なる製品があるので
注意が必要です。(3月より 250カプラーの”ツメ無し”の取り扱いを始めました。

また、カプラーに挿入される「端子」は、厚さや大きさ、素材の種類で区分されます。
端子を圧着するには、「圧着工具」が必要です。
圧着工具は、ホームセンターやカー用品店・電気工具販売店などで手に入ります。

しかし、一般市販されている工具は、あくまでも「汎用品」であり、個人で使用する
用途向けに販売されているものです。

「配線コム」で使用している工具は「専用品」で、端子に合わせてそれぞれ工具が異なります。
一般市販されている工具との違いは、

  • 端子ごとに専用品であること。
  • 圧着行程に入れば、圧着作業完了まで”やり直し”が効かない構造であること。
  • 専用品のため、非常に高価であること。

などです。

”端子ごとの専用品”というのは、決められた端子に合わせて作られた工具なので、厚さや長さが異なる端子に使用すると、仕上がりに不具合が生じる可能性がある、ということです。そのため、端子に合わせた工具を使用し、キチンと圧着出来る体制を整えています。

”やり直しが効かない構造”というのは、工具にラチェット機構がついているので、握り始めると握り終わるまで開かないようになっているのです。
このため、毎回決まった位置まで工具を操作しなければ、端子が圧着出来ないようになっていて、仕上げが安定する、という結果が得られます。

”高価な工具である”というのは、汎用品に対しての比較であり、高い工具というのは上を見ればキリがありません。
年間に数回しか使うことのない方には、汎用品が適していると思いますし、私どものように、みなさまに安心して使用していただけるようにするためには、最低限の工具であると思います。
価格は汎用品が15本くらい買える値段ではないか、と思います。

工具についての話は、宣伝でもあり、自己満足でもあるとは思いますが、汎用品で完全な圧着が出来ず知らないうちに、配線が抜けてしまうことがあるようです。

 

電気関係のトラブルは目に見えないものだけにやっかいで、ユーザー自身で配線作業をされた場合、これが原因で走行不能のトラブルに陥った場合、バイク修理を依頼された業者が、原因の特定に労力を費やすこともしばしばです。

特に圧着作業は未経験の方にとって、どの状態がキチンと圧着出来ているのか?をつかみにくいものでもあります。
110型端子などは自身の経験上、手に入りにくい部品であったため、多少の圧着不十分な状態でも仕方なく使用していたことがあります。

キチンと圧着出来ているか?をチェックする為に、電線を引っ張ってみて、抜けてしまえば不十分であったことは分かるものの端子は二度と使えない状態になっています。
それが怖くて、チェックをおろそかにしてしまう傾向がありました。
貴重な端子を無駄にしたくなかったのです。

 

汎用品の工具でキチンと圧着するためには、サイズに見合った電線を選ぶことや、端子のサイズにあった工具を見つけることが大切だと感じています。
汎用品工具にもメーカーによってばらつきがありますので、あまり聞いたことのない様なメーカーの工具はおすすめできません。

工具の”刃”の部分の厚み、工具を締めこんだときの両サイドの隙間と端子の当たる部分の高さ、などはメーカーによっても異なりますし、同じメーカーでも工具の種類によって違うこともあります。

一般的に手に入る”丸ギボシ端子”も製造元によって素材が異なるもの、素材の厚さが違うものがありますので、以前ぴったりだった工具が、今度はうまくいかなかったりすることもあります。

今の端子は、オス端子の方が素材の厚みがあることが多いようですから、オス端子に合わせて工具を選び作業をする方がスムーズにいくでしょう。
メス端子は、オス端子よりも素材の厚みが薄く、作業も容易です。

バイクのメンテナンス全般に言えることですが、経験を積み、想像力を駆使して理解を深めることが大事なのではないでしょうか?